歯周病によって、奥歯が失われたり、前歯が揺れて深く噛み込んだ状態になると、それによって顎関節症になる場合があります。
歯周病は、成人の約80%がかかっているといわれる、いわゆる感染症で、しかも、ほとんどの人が自覚症状のない状態にあるという点が、とても厄介な疾患なのです。
歯周病による顎関節症の原因は、次の3つが一般的です。
両側の奥歯が歯周病で無くなると、前歯では噛み合わせの高さが維持できないので、下顎が後ろに移動して、相対的に噛み合わせが深くなることがあります。
噛み合わせが深くなると、顎関節に無理な力がかかり始め、顎関節症の症状が出てくることがあります。
片側の奥歯が歯周病で無くなるか、グラグラして噛めない場合、顎は歯がある側でのみ噛もうとしますので、無意識のうちに下顎が不自然な位置で噛む習慣がついてしまいます。
そのうち、噛まない時でも、その不自然な位置が保たれるようになり、顎関節に無理な力がかかり始め、顎関節症の症状が出てくるときがあります。
全体の歯が歯周病でグラグラして、噛むところが無くなってくると、顎は、安定した噛み位置がわからなくなり、それによって、顎関節症の症状が出てくるときがあります。
歯周病による顎関節症の特徴は、歯周病の状態によって多少の違いがあります。
両側の奥歯が歯周病で無くなり、入れ歯を入れないで、そのままの状態が長くつづくと下顎が後ろに移動して、相対的に噛み合わせが深くなることがあります。
その後、入れ歯を作っても、噛み合わせを改善しないで入れ歯を作ってしまうと、噛み合わせの深さは変わりません。
噛み合わせが全体に深いので、噛合せた時に、下の前歯が上の前歯で覆われて、見えなくなっています。
この場合には、両顎の痛み、肩こり、偏頭痛などの症状が出る場合があります。
片側の奥歯が歯周病で無くなるか、グラグラして噛めない場合、片側のみで噛む習慣がつきますので、そのうち、噛まない時でも、その不自然な位置が保たれるようになり、顎関節に無理な力がかかり始め、顎関節症の症状が出てくるときがあります。
また、噛み合わせた時に、上下の真ん中の歯の正中線が、左右どちらかにずれている場合があります。
この場合には、顎の雑音、痛み、肩こり、偏頭痛などの症状が出る場合があります。
全体の歯が歯周病でグラグラして、噛むところが無くなってくると、自分自身で定まった噛み合わせが決めにくく、どこで噛んだらいいのか、わからなくなっている場合があります。
この場合には、両顎の痛み、肩こり、偏頭痛などの症状が出る場合があり、症状が進むと情緒不安定になるなどの症状が出ることもあります。
長年、顎関節症をわずらって、他院でいろいろな処置をしていた方です。
下の入れ歯を何度も作り直しましたが、うまく合わず顎関節症も一向に改善しなかったそうです。
歯槽膿漏もあり、上下の噛み合せがとても低くなっていて、下顎が後ろに行ってしまっていたので、全体の噛み合せを高くして、下顎も前に誘導することにしました。
治療後の写真です。
上下ともに歯槽膿漏が激しく、歯の揺れが顕著だったので、全体の歯茎の処置を行った後、ブリッジ式の差し歯にして全体を固定しています。
残念ながら、左の奥歯は抜歯になりましたので、左右の奥歯は入れ歯になりました。金属のバネが目立つので白いバネの入れ歯(ホワイトクラスプ入れ歯)を使用しています。
治療後は顎関節症も完治して、快適な生活をされています。
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